酒井日向守が、片桐石州自筆の巻物2巻(稲葉正道と片桐石州との間の問答)を上下とし、この巻物2巻から大事なことを抜き出し、宇佐美黙斎の皆伝の際に伝授した書を
石州流伊佐派の岡野三益が、文政10年12月に書写した本です。表題では上下となっていますが、1冊の本です。
・酒井日向守(忠能)は、江戸時代前期の大名。上野伊勢崎藩(那波藩)主、後に信濃小諸藩主を経て、駿河田中藩主となる。
・稲葉正道は、江戸時代前期から中期の譜代大名、石州流を嗜み、老中を務めた。元水子とも号す。
・宇佐美黙斎は、石州流野田酔翁門下、安中藩主板倉勝意の茶道役、名は昌英・昌益。著書には、寛政5年の「一畳半之伝残火跡見」(天明5年成立、岡野朝隆斎写、今日庵蔵)、寛政9年の「茶道十三式」(東博蔵)、同「茶道十三式附独客之式」(明治33年写、今日庵蔵)があります。
・岡野三益(朝隆斎)は、土屋但馬守の茶堂(石州流伊佐派)、名は玄久。
虫損により一部に判読しにくい箇所がありますが、大半部分は判読できると思います。表紙左側部分の虫損は、2丁目で止まっています。
サイズ:20.3×13.7cm、罫線紙に半丁8行書、墨付21丁。
石州流茶道に興味をお持ちの方に、研究用資料としてお薦めいたします。